帰化申請の条件に関する質問と回答例(住所条件・能力条件)
行政書士サイトの多くで簡易帰化のことを強調されているせいか、日本人との婚姻による簡易帰化(7条)の恩恵を受けたいと考えられる方がよくいらっしゃいます。
そして、日本人との縁談をきっかけに帰化申請を検討されている人の中には、インターネット上で読んだ簡易帰化の情報から、帰化申請をする前に婚姻をすることで、帰化申請が有利に進むと考えて、婚姻届出を急ごうとする方がいらっしゃいます。
しかしながら、相談者が特別永住者である場合には、ほとんど意味はありません。
というのも、日本人との婚姻による簡易帰化というものは、一般の帰化申請者が要求される居住歴の5年が、状況により3年または1年に短縮される住所条件上の緩和と、未成年でも単独申請ができるという能力条件上の緩和だけだからです。
ほとんどの方が生まれた時から本邦に居住されている特別永住者にとっては、住所条件の緩和は、長期間海外で暮らして来た方を除いて、何の意味も持ちません。
また、能力条件についても、2007年から韓国女性の婚姻年齢が18歳に引き上げられた状況では、簡易帰化の役割が小さくなっていますし、本当に帰化申請の専門家なら、クリアしたいハードルが能力条件の場合には7条を使いません。
前述のように特別永住者の方にとって、国籍法7条の簡易帰化はあまり意味をなさないだけでなく、帰化後の戸籍のことなども考えるなら、むしろ、「事情が許す限りは」帰化申請が許可になってから、婚姻届をされて晴れて入籍をされた方が良いでしょう。
ところで、帰化申請者が日本人の配偶者である場合、簡易帰化の制度とは別に、帰化許可までの期間が早まる傾向があります。間違えないで下さい、許可までの期間が早くなるとはどの法律にも決められているわけではありません。傾向があるだけのことです。
しかし、わざわざ婚姻届出をし正式な夫婦になっていなくとも、婚約者が日本人である場合には、とりわけ特別永住者の方においては、同じ傾向にあります。
これらは、日本人との間に子供が生まれる可能性がある限りは、帰化を希望されている以上、生まれてくる子供の国籍に影響してくることに配慮して、法務局職員も法務省も迅速に審査をしようとするからです。とくに二重国籍で生まれてくることは、外国籍で生まれてくることより、将来的に深刻なケースとなってしまうことにも由来します。
だから、婚約者が日本人の場合でも傾向的に帰化が早まるのですが、同居しているいないにかかわらず、配偶者の場合と同じように、婚約者についての情報開示は必要となります。
よく、相手に手間や迷惑をかけたくないと、婚約者の存在を隠す人がいますが、故意に隠したことが発覚すると大きなマイナスとなり、また、許可はなされても、大変な時間がかかることもあります。
一生をともにすることを考えてくれているほどの人なのですから、協力してもらったら良いじゃないですか。(^o^)
このサイトも含めて、インターネット上にはいくつかの帰化申請Q&A集がありますが、Q&A集に書かれている回答は「あなたのケースには必ずしもあてはまるものではない」ということをご理解ください。
帰化申請の条件、つまり帰化できるかどうか、については、申請者の在留状況・親族関係・仕事・収入・資産状況・賞罰・課税納税状況・その他の過去の履歴・将来の予定などによって、ひとりひとり全員違いますから、本来、一般論として述べることは絶対にできないものですし、述べても意味のないものです。
とくに帰化申請の条件については、それぞれの条件の基準が他の条件の状況によって変わってきます。例えば、「5年間以上日本に住んでいて、仕事を始めて3年以上経っている人」でも、住所条件を満たす方もいれば住所要件を満たさない方もいます。飲酒運転やスピード違反などの交通違反については法務局は非常に厳しい立場を取っていますが、それでも「過去に飲酒運転がある人」であっても、素行条件を満たす人もいればその飲酒運転により素行条件上不許可となる人もいます。
数千件にのぼる帰化申請の相談を受けてきた経験から申し上げますと、「気になる条件以外は、まず問題ない」と自己判断されている方ほど、実際は帰化の条件を全く満たしていないことが多い傾向にあります。簡単に自己判断される方は、性格的にいい加減な方である率が高いからです。むしろ、「本当に許可条件をを満たしているのでしょうか?」と心配顔で相談に来られる方の方が問題なく進む場合が多いです。慎重に真面目に暮らしてこられている方だからです。
このサイトも含め、インターネット等の情報は「あくまでも一般論であり、あなた自身のケースは違う」ということと、「全ての専門サイトはビジネスでやっていますので、本当に大事な情報は公開していない」ということを十分に理解された上で、このQ&A集をお読みいただくようお願いいたします。
帰化申請についてもっと体系的に知りたい方は、ASC申請支援センターのホームページをご覧ください。もちろん、帰化申請のご依頼や韓国戸籍の翻訳や取り寄せも行っております。
毎週土曜日の午後に、大阪谷町線天満橋駅の大阪法務局に隣接するASC申請支援センター内、相談ブースで、帰化申請相談会を開催しています。帰化申請をご依頼される方は、電話予約の上、ご相談にお越しください。
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