帰化後の戸籍に関する質問と回答例(帰化後の氏名)

帰化後の氏名として現在の本名をそのまま使うことはできますか?

帰化後の氏名

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住居要件(帰化申請の条件)

帰化後の氏名として使える文字は、氏と名で分けて考えます

 従来、帰化後の氏名に使える文字は、「氏(うじ)」「名(な)」いずれも「子の名として使える文字」であることが要求されていましたが、平成24年の在留制度変更にともなって改訂された"帰化申請のてびき"からは「氏」と「名」で使用できる文字が相違することになりました。

 これは、国籍法3条による国籍取得の届出の際に、国籍取得後の氏名として使える文字を定めた平成20年12月18日民一第3302号民事局長通達の内容に準じて帰化後の氏名を取り扱うことになったということであり、さらに言うと、日本人の氏又は名の記載に用いる文字の取扱いに準じた内容となったということです。

帰化後の名は「子の名として使える文字」であれば、原則としては、自由に名付けることができます。

 日本においては、子の"名"として使える文字(=人名として使える文字)は戸籍法第50条第2項の規定により戸籍法施行規則第60条で明確に決められている「常用平易な」文字しか使用することができません。

 これは、日本人同士がお互いに読んだり書いたりすることができない字を名前に持つことは、本人にとっても社会にとっても決して好ましいことではないという、あたりまえの理由からです。

 帰化申請においても帰化後の氏名として使える漢字は、子の名として使える文字のみですから、ご質問の「現在の本名」として使用している文字が全て「子の名として使える文字」であれば、法律上は、現在の名前をそのまま帰化後の氏名として使用することができます。

 子の名として使える文字は、下記のとおりです。

  1. 常用漢字
  2. 戸籍法施行規則別表第二(漢字の表一及び二)=人名用漢字
  3. ひらがな・カタカナ
  4. 長音符、踊り字

  

 なお、平成22年6月7日に文部科学大臣あてに文化審議会から改訂常用漢字表が答申され、平成22年11月30日内閣告示により常用漢字の改廃が行われました。

 改廃の結果、帰化後の氏名に使える常用漢字が増えることになります。

帰化後の氏に使える文字は次のとおりです

 帰化後の氏(うじ)に使える文字は、名前に使える文字より幾分多く、次の通りです。

  1. 常用漢字
  2. 戸籍法施行規則別表第二(漢字の表一及び二)=人名用漢字
  3. 康熙字典体又は漢和字典において「正字」とされた文字
  4. 「隆の旧字」「慨の旧字」「概の旧字」「免の旧字」
  5. 国字で上記までに準ずる字体
  6. 第5200号通達別表に掲げる字体(但し平成22年11月30日改正)
  7. 第5202号通知別表の「正字」欄に掲げる字体(但し平成22年11月30日改正)
  8. ひらがな・カタカナ
  9. 長音符、踊り字

自分自身だけでなく子孫の将来のしあわせのこともよく考えて、帰化後の氏名は慎重に選んでください

 使用可能な文字の中で自由に名付けられるからといって、「安易に」現在の本名を帰化後の氏名とするのには問題があります。

 間違わないでください。「現在の本名を帰化後の氏名とする」ことにはまったく何の問題もありません。「安易に」考えることに問題があるのです。

 日本人の氏名は、通称名とは違って、いちど戸籍に記載されてしまうと、改名することは非常に困難であり、必ず、裁判所の許可が必要となります。

 この裁判所の許可は、少なくとも「誰から見てもやむを得ない理由があり、改名することが社会にとってマイナスとならない」ものでないと認めてもらえません。名前はやむを得ない理由があれば比較的許可される可能性もありますが、氏(姓)については名前よりもさらに困難であると考えてください。また、帰化の場合は、親や他人から付けられたわけでもなく、その氏名を自分で選んでいるわけですから、さらに難しいものとなって当然でしょう。

 帰化の際につけた氏名は、自分自身が一生付き合っていかなければならない氏・名であるとともに、子や孫、その先の子孫までがずっと受け継いでいく氏として考える必要があります。

帰化後の氏名は将来のしあわせを考えて

 もし、外国風の名前を付けたとしても、そのことで誰からも差別を受けたり非難されることなど、これっぽっちもありません。しかし、現実問題としては、あなたが帰化しようとしている国は日本の国なのですから、日本社会の中であえて外国人風の名前を子孫代々名乗っていくことのリスクは理解し納得した上で、家族にとって一番しあわせとなる名前を選んでください。家族にとって一番しあわせな名前が外国風の名前であるなら、それが一番いい名前です。

 過去にはよく、「法務局から日本風の名前を強制された」などという話を聞くことがありましたが、法務局は人権を守る最前線の役所ですから、意地悪や脅しでそのようなことを強制することはありません。過去からも、法務局の相談員や職員は本人や子孫の将来を心配して、良かれと思って奨めてくれていたのです。しかし、そのような誤解による批判が多く語られるようになったせいか、最近は全くといってよいほど、そのようなアドバイスはされないようになってきました。だからこそ、今後は申請者自身が自己責任で思い悩んで決めなければならないのです。

 いずれにしても、様々な選択肢を柔軟に考えて、将来のしあわせのための決断をなさっていただきたいと存じます。

  

質問をお読みいただく際のご注意

 このサイトも含めて、インターネット上にはいくつかの帰化申請Q&A集がありますが、Q&A集に書かれている回答は「あなたのケースには必ずしもあてはまるものではない」ということをご理解ください。

 帰化申請の条件、つまり帰化できるかどうか、については、申請者の在留状況・親族関係・仕事・収入・資産状況・賞罰・課税納税状況・その他の過去の履歴・将来の予定などによって、ひとりひとり全員違いますから、本来、一般論として述べることは絶対にできないものですし、述べても意味のないものです。

 とくに帰化申請の条件については、それぞれの条件の基準が他の条件の状況によって変わってきます。例えば、「5年間以上日本に住んでいて、仕事を始めて3年以上経っている人」でも、住所条件を満たす方もいれば住所要件を満たさない方もいます。飲酒運転やスピード違反などの交通違反については法務局は非常に厳しい立場を取っていますが、それでも「過去に飲酒運転がある人」であっても、素行条件を満たす人もいればその飲酒運転により素行条件上不許可となる人もいます。

 数千件にのぼる帰化申請の相談を受けてきた経験から申し上げますと、「気になる条件以外は、まず問題ない」と自己判断されている方ほど、実際は帰化の条件を全く満たしていないことが多い傾向にあります。簡単に自己判断される方は、性格的にいい加減な方である率が高いからです。むしろ、「本当に許可条件をを満たしているのでしょうか?」と心配顔で相談に来られる方の方が問題なく進む場合が多いです。慎重に真面目に暮らしてこられている方だからです。

 このサイトも含め、インターネット等の情報は「あくまでも一般論であり、あなた自身のケースは違う」ということと、「全ての専門サイトはビジネスでやっていますので、本当に大事な情報は公開していない」ということを十分に理解された上で、このQ&A集をお読みいただくようお願いいたします。

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 帰化申請についてもっと体系的に知りたい方は、ASC申請支援センターのホームページをご覧ください。もちろん、帰化申請のご依頼や韓国戸籍の翻訳や取り寄せも行っております。

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