帰化後の戸籍に関する質問と回答例(帰化事項)
「帰化後の戸籍には新日本人という記載がされる」などということはありません。噂話と申しますよりも、デマと言った方が正しいでしょう。
帰化をすれば、単なる日本人となります。日本人には、新日本人も、真日本人も、旧日本人もありません。全員、単なる日本人です。
また、「日本人」という表記自体されることはありません。国際結婚においては入籍ができないことが示すとおり、外国籍の方には戸籍自体がありませんから、わざわざ日本人を区別する必要がないからです。強いて言うならば、日本の戸籍があることそのものが、日本人であることを証明する手段の「ひとつ」です。
ただ、帰化後の戸籍の身分欄には「帰化事項」が記載されます。帰化事項は、帰化前のあなたと帰化後のあなたを結び付ける非常に大事な記載です。具体的には帰化日、届出日、帰化の際の国籍、従前の氏名が記載されますが、帰化した年代や日本人との婚姻関係、従前の氏名と帰化後の氏名の関連性などによって少し変わってきます。また、現在は多くの自治体で電算化戸籍となっていますので表記方法は違いますが、記載内容は同じです。昔ながらの見慣れた縦書き戸籍であれば「○年○月○日帰化○年○月○日届出(帰化の際の国籍○○従前の氏名○○)」といった文章表記ですが、現在となっては少し古臭いイメージに感じられる人も多いかもしれません。
この、帰化後の戸籍の身分欄に記載される帰化事項が「新しく日本人となった方である」ことを意味するので「新日本人」などといった誤解が生まれたことと存じます。「帰化後の戸籍の身分欄」という言葉を聞いて、戸籍の事をよく知らない方が中世のような身分制度をイメージしてしまったのでしょう。実際には、出生・死亡や婚姻・離婚といったその方の人生の様々な歴史を記載する欄が、身分欄です。あなたの人生の歴史のひとつとして「帰化」があった。単にそれだけのことです。
なお、この帰化事項が記載されていることを気にして、素人判断で安易に転籍などをすることのないように留意する必要があります。戸籍は制度上、いったん届け出たことや申し出たことは二度とやりなおすことができませんので、転籍するのは、転籍結果や時期、転籍の意味合いをよく理解してから行わないと後で大変なことになります。必ず、専門家に戸籍を見せて内容を確認してもらった上、転籍の目的(意図する結果)もはっきりさせてから転籍を行ってください。
このサイトも含めて、インターネット上にはいくつかの帰化申請Q&A集がありますが、Q&A集に書かれている回答は「あなたのケースには必ずしもあてはまるものではない」ということをご理解ください。
帰化申請の条件、つまり帰化できるかどうか、については、申請者の在留状況・親族関係・仕事・収入・資産状況・賞罰・課税納税状況・その他の過去の履歴・将来の予定などによって、ひとりひとり全員違いますから、本来、一般論として述べることは絶対にできないものですし、述べても意味のないものです。
とくに帰化申請の条件については、それぞれの条件の基準が他の条件の状況によって変わってきます。例えば、「5年間以上日本に住んでいて、仕事を始めて3年以上経っている人」でも、住所条件を満たす方もいれば住所要件を満たさない方もいます。飲酒運転やスピード違反などの交通違反については法務局は非常に厳しい立場を取っていますが、それでも「過去に飲酒運転がある人」であっても、素行条件を満たす人もいればその飲酒運転により素行条件上不許可となる人もいます。
数千件にのぼる帰化申請の相談を受けてきた経験から申し上げますと、「気になる条件以外は、まず問題ない」と自己判断されている方ほど、実際は帰化の条件を全く満たしていないことが多い傾向にあります。簡単に自己判断される方は、性格的にいい加減な方である率が高いからです。むしろ、「本当に許可条件をを満たしているのでしょうか?」と心配顔で相談に来られる方の方が問題なく進む場合が多いです。慎重に真面目に暮らしてこられている方だからです。
このサイトも含め、インターネット等の情報は「あくまでも一般論であり、あなた自身のケースは違う」ということと、「全ての専門サイトはビジネスでやっていますので、本当に大事な情報は公開していない」ということを十分に理解された上で、このQ&A集をお読みいただくようお願いいたします。
帰化申請についてもっと体系的に知りたい方は、ASC申請支援センターのホームページをご覧ください。もちろん、帰化申請のご依頼や韓国戸籍の翻訳や取り寄せも行っております。
毎週土曜日の午後に、大阪谷町線天満橋駅の大阪法務局に隣接するASC申請支援センター内、相談ブースで、帰化申請相談会を開催しています。帰化申請をご依頼される方は、電話予約の上、ご相談にお越しください。
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