帰化申請の条件に関する質問と回答例(素行条件)

交通違反があると帰化できないと聞いていますが本当ですか?

素行条件/帰化申請の条件/国籍法第5条1項3号

素行条件/帰化申請の条件を解説

 本当です。

 国籍法第5条1項3号では、法務大臣が帰化を許可することができる「最低限の条件」として「素行が善良であること」と定められており、素行が善良であるかどうかの審査には、過去の交通違反の状況も含まれます。

  

交通違反は何回まで許されるか?

 よく、「何回まで交通違反が許されますか?」というご質問をされる方が居ます。開業されたばかりの行政書士のサイトなどで「○○回までは交通違反があっても良い。」などと書かれていることもありますが、実際のところは、それぞれの交通違反の書類によっても重さは違いますから、1回の違反で申請不可能となることも、4回で申請できないこともあります。また、法定期間内に7回あっても許可になる方も、申請できない方もいます。さらに、交通違反だけで判断することはできませんから、同じ交通違反回数の方でも、生まれてから今日までの素行の状況によって左右されます。

 つまり、交通違反という基準ひとつをとりあげて、許可になるかならないかを、論じること自体が、実に「無意味」な事なのです。

 ただ、過去の生涯の中で「駐車禁止違反が1,2回程度あるだけのこと」であれば、「きちんと反省」して現在更生しており、他の素行状況も良好であれば問題とされることは少ないでしょう。しかし、本人自身が「駐車禁止違反が1,2回程度あるだけのこと」と甘い認識を持っていることは、それ自体が素行上、問題ありますので注意してください。

 また、駐車禁止をしたらすぐに出頭しなければならないのですが、出頭せずに所有者として放置駐車違反金を納付している状況は駐車違反より違法性が重いです。なぜなら駐車違反の犯人(自分)は逃走しているので仕方なく所有者のところに放置違反金が来ている状況だからです。
  運転記録証明書に放置違反金は記載されていないからラッキーなどと、絶対に、隠匿することのないように気をつけて下さい。

 あと、法務局で「点数を計算するからちょっと待っていて」と言われることがあることから、帰化申請初心者の行政書士の方に誤解されることが多いのですが、帰化申請における交通違反点数の計算は、一般の交通違反の点数の計算方法とはまったく誓いますので、一般の累積点数という概念は帰化申請ではほとんど意味のないことです。

 実際には各法務局ブロック毎に東京に送る際の基準は設けているので、もちろん、当センターにご依頼をいただいた方については、他の帰化条件も合わせて考慮した上で、それぞれの基準に応じて「申請前に」帰化許可の可能性を判断いたします。

 交通違反については地方毎にかなり違うこともありますし、他の条件とのバランスもありますから、ネット上の情報は、あなたの案件には、あてはまりません。
 交通違反については名古屋ブロックである中部地方が「受付にあたり」一番厳しく応対されます。ただし、現実に霞が関に送られた後の審査基準は全国同じです。ただ、日本の国民主権を守る観点からは名古屋ブロックが最も忠実に帰化実務を遂行しているといえるかも知れません。

過去の交通違反は、いつまで関係してくるのか?

 また、過去何年間の違反を法務局に申告しないといけないのですか、というお問い合わせもよくありますが、「生まれてから全ての違反(もちろん、交通違反だけでなく、起訴不起訴にかかわらず、全ての違法性のある行為です)」を申告する必要があります。

 形式的には申告制にはなっていますが、自ら申告しなくても、生まれてから今日までの全ての違法性のある行為は「全て法務局の調査により判明します」ので、隠すことはできませんし、隠す行為は他のどんなことよりも重い不許可理由となります。

 許可不許可の審査についても生まれてから全ての事が対象とはなりますが、重要なのはおおむね法定期間内と考えていただいたら良いでしょう。交通違反だけのことを言うなら、人生の途中から日本に来られた方では5年間、特別永住者の方では法定期間よりも短く2,3年間です。この間に違反が多発していたり、重い違反があるのであれば、非常に厳しい状況です。もちろん、「この期間に無事故無違反であればよい」という単純なものではなく、それ以前の状況も参考とされますし、その人の生き方や考え方全ての総合判断です。交通違反以外の違法行為については、重要視される期間がもっと長いものもあります。

交通違反は素行条件の審査対象のほんのひとつにすぎません

 素行要件における観点は数えたらきりがないほど多く、交通違反はその中のほんのひとつにすぎません。ただ、言えることは、交通違反が多い方は、他の素行もあまり良くないということです。

 素行要件に関する審査は最も厳しく、たとえ表見上は明らかな法律違反がなかったとしても、なんとなくいい加減な方だと、調査や審査自体が厳しく行われ、結果的に、明らかになっていなかった脱税などの違法行為が発覚して、取り下げや不許可となる場合がよくあります。

 いずれにしても、交通違反で悩んでいる方は、専門家を通じて申請されることをおすすめていたします。

  

質問をお読みいただく際のご注意

 このサイトも含めて、インターネット上にはいくつかの帰化申請Q&A集がありますが、Q&A集に書かれている回答は「あなたのケースには必ずしもあてはまるものではない」ということをご理解ください。

 帰化申請の条件、つまり帰化できるかどうか、については、申請者の在留状況・親族関係・仕事・収入・資産状況・賞罰・課税納税状況・その他の過去の履歴・将来の予定などによって、ひとりひとり全員違いますから、本来、一般論として述べることは絶対にできないものですし、述べても意味のないものです。

 とくに帰化申請の条件については、それぞれの条件の基準が他の条件の状況によって変わってきます。例えば、「5年間以上日本に住んでいて、仕事を始めて3年以上経っている人」でも、住所条件を満たす方もいれば住所要件を満たさない方もいます。飲酒運転やスピード違反などの交通違反については法務局は非常に厳しい立場を取っていますが、それでも「過去に飲酒運転がある人」であっても、素行条件を満たす人もいればその飲酒運転により素行条件上不許可となる人もいます。

 数千件にのぼる帰化申請の相談を受けてきた経験から申し上げますと、「気になる条件以外は、まず問題ない」と自己判断されている方ほど、実際は帰化の条件を全く満たしていないことが多い傾向にあります。簡単に自己判断される方は、性格的にいい加減な方である率が高いからです。むしろ、「本当に許可条件をを満たしているのでしょうか?」と心配顔で相談に来られる方の方が問題なく進む場合が多いです。慎重に真面目に暮らしてこられている方だからです。

 このサイトも含め、インターネット等の情報は「あくまでも一般論であり、あなた自身のケースは違う」ということと、「全ての専門サイトはビジネスでやっていますので、本当に大事な情報は公開していない」ということを十分に理解された上で、このQ&A集をお読みいただくようお願いいたします。

ASC申請支援センターの帰化申請相談会にご参加できます

 帰化申請についてもっと体系的に知りたい方は、ASC申請支援センターのホームページをご覧ください。もちろん、帰化申請のご依頼や韓国戸籍の翻訳や取り寄せも行っております。

 毎週土曜日の午後に、大阪谷町線天満橋駅の大阪法務局に隣接するASC申請支援センター内、相談ブースで、帰化申請相談会を開催しています。帰化申請をご依頼される方は、電話予約の上、ご相談にお越しください。

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