帰化申請の条件に関する質問と回答例(生計条件)

住宅ローンなどの借金が沢山残っていますが帰化できますか?

生計条件/帰化申請の条件/国籍法第5条1項4号

 借金は、生計条件を審査する上での大きなポイントです。

 帰化申請では、月間収支状況と、銀行口座残高・不動産・保有株式などの資産の状況を提出し、生計を十分に維持していくことが可能かどうかの審査を受けなければなりません。

 質問の「住宅ローン」があること自体は、ちゃんと与信も受け返済計画を立ててローンを組んでいるのですから、返済の滞納がない限り、まったく問題になりません。むしろ、住宅ローンを組めるだけの信用があると考えてもいいくらいです。

 しかしながら、住宅ローンの返済が家計を圧迫し、生計に影響を与えているような状況であれば、要注意です。

 住宅ローンの返済のために、別の借金を重ね始めているご家庭もよく見かけます。消費者金融で借りたお金で住宅ローンを返済しているようなケースです。消費者金融やキャッシングのリボルビングカードローンを複数抱えているような状況は、とても生計条件を満たしていると認めてもらえないでしょう。

 法律上は借金があれば帰化申請できないというようなことはありませんが、行政書士になられたばかりの方のサイトなどでたまに見かける「Q.借金があると帰化申請はできませんか? A.いいえ。借金があっても帰化申請は可能です。」といった簡単なものではありません。

 その世帯の収支の状況を慎重に判断してはじめて、借金はあるけれども何とか帰化申請を行える可能性があります、ということが明言できるのです。

 また、借金については、法務局に対してどのような借金も隠し通すことは絶対にできません。

 帰化申請の審査のプロである法務局の目から見て、申請に添付する各種書類の状況に加え、資産の状況や暮らしぶりを見れば一目瞭然であり、さらに法務局は独自の調査も行います。

 「生計の概要その1」や「生計の概要その2」をいい加減に書くと、そのこと自体が理由で不許可となる可能性もあります。もっと悪いのは、いい加減どころか、故意に「自分の都合のいいように」生計の概要に記載するような場合であり、許してもらえることはないでしょう。

 隠す行為は他のどんなことよりも重い不許可理由となりますので、報告すべき負債を記載していないことは、それだけで完全な不許可理由となります。必ず、細かい借金まで全ての状況を開示してください。

生計条件/帰化申請の条件を解説 余談となりますが、ASC申請支援センターでは過去に何件も、「家族の中に浪費癖を持つご家族の居るご家庭」の申請を行って来ました。正確に言うと「浪費癖を持たれていたご家族の居た」です。全て、ご自分の状況や性格などを理解していただき説得し生活を改めていただき、実際に財務状況を改善してから、申請をいたしました。大抵、申請の準備に取り掛かるまで半年以上かかりますし、2年半掛けて生活改善をしていただいたケースもあります。正直申し上げると、申請者ご本人も、担当する行政書士も、帰化が許可になるまでへとへとになるくらい気苦労いたします。どの案件も、もし申請支援センターに出会わずに、申請書に不記載をするなどの小手先の対処で申請を行っていたら100%不許可となり、その後の再申請にさえ影響を与えていたであろうケースです。
  みなさん許可となり、今では「日本人として」幸せに暮らしていらっしゃいることと存じます。それぞれのご家庭が、もう二度と、借金は増やされていないことをずっと願っています。

  

質問をお読みいただく際のご注意

 このサイトも含めて、インターネット上にはいくつかの帰化申請Q&A集がありますが、Q&A集に書かれている回答は「あなたのケースには必ずしもあてはまるものではない」ということをご理解ください。

 帰化申請の条件、つまり帰化できるかどうか、については、申請者の在留状況・親族関係・仕事・収入・資産状況・賞罰・課税納税状況・その他の過去の履歴・将来の予定などによって、ひとりひとり全員違いますから、本来、一般論として述べることは絶対にできないものですし、述べても意味のないものです。

 とくに帰化申請の条件については、それぞれの条件の基準が他の条件の状況によって変わってきます。例えば、「5年間以上日本に住んでいて、仕事を始めて3年以上経っている人」でも、住所条件を満たす方もいれば住所要件を満たさない方もいます。飲酒運転やスピード違反などの交通違反については法務局は非常に厳しい立場を取っていますが、それでも「過去に飲酒運転がある人」であっても、素行条件を満たす人もいればその飲酒運転により素行条件上不許可となる人もいます。

 数千件にのぼる帰化申請の相談を受けてきた経験から申し上げますと、「気になる条件以外は、まず問題ない」と自己判断されている方ほど、実際は帰化の条件を全く満たしていないことが多い傾向にあります。簡単に自己判断される方は、性格的にいい加減な方である率が高いからです。むしろ、「本当に許可条件をを満たしているのでしょうか?」と心配顔で相談に来られる方の方が問題なく進む場合が多いです。慎重に真面目に暮らしてこられている方だからです。

 このサイトも含め、インターネット等の情報は「あくまでも一般論であり、あなた自身のケースは違う」ということと、「全ての専門サイトはビジネスでやっていますので、本当に大事な情報は公開していない」ということを十分に理解された上で、このQ&A集をお読みいただくようお願いいたします。

ASC申請支援センターの帰化申請相談会にご参加できます

 帰化申請についてもっと体系的に知りたい方は、ASC申請支援センターのホームページをご覧ください。もちろん、帰化申請のご依頼や韓国戸籍の翻訳や取り寄せも行っております。

 毎週土曜日の午後に、大阪谷町線天満橋駅の大阪法務局に隣接するASC申請支援センター内、相談ブースで、帰化申請相談会を開催しています。帰化申請をご依頼される方は、電話予約の上、ご相談にお越しください。

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帰化申請の条件Q&A